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人がいると物がたまり何かが始まる、物があると人がたまり何かが始まる。

水戸芸術館開館25周年記念事業「カフェ・イン・水戸R」の関連プログラム「Re MITO 100(リミット100)」についての記事を掲載しています。

「僕はアーティストですけど、アートにハマったという意識は全くありません」
半世紀以上もの間、水戸の街を見守ってきた泉町のシンボル・泉町会館。その場所で、アートプロジェクト「リビングルーム」を手がける北澤潤さんは、

「子どもの頃からずっと、日常生活の中で『違和感』を感じながら生きてきました。例えば、美術作品を眺めたときに、『どういう技術や表現手法で作られたのか』ということではなく、『なぜ作られたのか、作られた意味は何なのか』ということに疑問を持っていて。みんな何気なく日常を過ごしているけど、それって、自分で作るというより、作られた環境の中で過ごしているんだなって思い始めたんです。なぜ自分がここにいるのか、どんな意味があるんだろうか、と考えたときに、子どもながらに怖さというか、漠然と違和感を感じたんですね。だから、日常の様々なことに対する『違和感』が、まず僕のアートプロジェクトのベースにあります」

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いつもと違う「もうひとつの日常」 

「そんなわけで、僕の場合美術館で作品を作りたいという発想がそもそもないんですよ。日常に対して問いを投げかけ、地域と関わり合いながら活動を続けていく中で、結果的にアートプロジェクトと呼ばれるようになったんです」

リビングルームは、まさに日常をコンセプトとしたプロジェクトのひとつ。そこに集う地域の人たちが『この場にあったらいいな』と思う家具を持ち込み、最初は何もなかった場所が、リビングさながらの空間に変化していく。家具は物々交換がルールになっているので、新たな家具がやってくることで絶えず変化し続ける。

2010年に埼玉県北本市でスタートしたこのプロジェクトはどんどん広がりを見せ、徳島や秋田、沖縄、そして海を越えてネパールにまで展開していった。

「当初は、ネパールにまで広がるとは思いませんでした。でも、リビングルームで起こる地域の人たちの会話が、次のリビングルームを生んでいくって、とても素敵なことですよね」

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「僕はよく、『もうひとつの日常』という言葉を使います。リビングルームには、最終的にこんな形にしたいという目標があるわけではないのに、自然と人が集まってきます。違和感を感じていた日常とはまた違う、もうひとつの日常が街の中にあることで、人の心に揺さぶりをかけられるんじゃないかと思うんです」

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さらに北澤さんは、「もうひとつの日常」というテーマで、「放課後の学校クラブ」というプロジェクトを立ち上げた。授業が終わった放課後にオリジナルの学校を開校する、「もうひとつの学校」をつくるクラブ活動だ。

「『もうひとつあるなら、いつもの学校じゃなくて好きに考えていいんだよね』とみんな目を輝かせるんです。そこでは、ひとりひとりが主役。ひとつの課題をみんなで解決するわけではなく、単純に自分がこれをやりたい、という意識で子どもたちが動いていきます」

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アートは人に効くもの

「地域でアート活動をすると、地域課題を解決するためにやっていると思われがちだけど、その考え方は適切ではないと思います。アートは、地域ではなく人に効くものなんです。リビングルームを続けていると、『空き店舗の活用・物々交換によるエコの精神・多世代交流の空間』と、決まり文句のように地域課題解決の観点から語られます。でも、実際に足を運んでみるとそんな大げさなものではなく、『好奇心で人が自然と集う、日常とは違うもうひとつの場所』ということに過ぎません。

だから、僕の活動は地域課題の解決が前提ではありません。個人個人がそれぞれ持っているものに対してはたらきかけるのがアートであり、地域の人たちに粛々と効いていくことで、結果的に地域に還元され、地域課題にも変化が生じるんです」

「アートプロジェクトを社会の中でやっている以上、人にはたらきかけることをベースにしながら、社会に対して訴求力が強いことをやっていきたいという気持ちはあります。ただ、最初から社会ありきで考えないという部分は、社会に関わるアーティストとして、これからもこだわり続けたいです」

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リビングルームには、『もうひとつの日常』を求めて多くの人が集っていた。年季の入ったちゃぶ台からオルゴール、将棋盤まで、持ち主の想いが詰まった物が配置されている。この日も新たに、ソファが運ばれてきた。

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人々の想いで変化していく空間

「他の地域では空き店舗を使ってリビングルームを展開しているけど、水戸では泉町会館という地域の文化が詰まった場所でやらせていただいているので、どんなことが起きるのかとても楽しみです。水戸は、歴史の重みがあり、文化を大切にする人が多いすばらしい街だと思います。だからこそ、リビングルームという異質なものが入ってきた時に、良い影響だけが出てくるとは限りません。でもそれは、大げさかもしれないけど水戸がどう変わっていくのかが試されているんじゃないでしょうか。僕は、このプロジェクトに関わる人間として、リビングルームが水戸でどう受け止められるのか、しっかりと見届けたいです」

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「今まで、色々な活動をしてきましたが、あくまで僕はきっかけをもたらすことしかできません。プロジェクトの主体・担い手は地域の皆さんです。今回、こうして多くの水戸の方々に関わることができ、僕も新たな水戸を再発見し続けています。まさにRe MITO中ですね」

もうひとつの日常空間が、水戸の人々の手によってどう変化していくのか。
肩肘張らずに入れる空間・リビングルーム泉町。「ただいま」と言いながら扉を開け、想いを込めた家具を持ち込んでみては?

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DSC_1053-1リビングルーム泉町
■営業時間:12:00〜17:00
■定休日:毎週月曜日
■会期:8/15~10/18
※9/21、10/12は開館、10/13は休館

Re MITO 35.人がいると物がたまり何かが始まる、物があると人がたまり何かが始まる。(ガイドブックデータ)

※Re MITO 100ガイドブックは、水戸芸術館、水戸駅の水戸観光案内所、南町三丁目のまちなか情報交流センター、まちの駅等で無料配布しています。

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住所:水戸市泉町2-3-17 2F

TEL:029-227-8120(水戸芸術館現代美術センター)

今日はブレイクします。 水戸一中OBがつくりました。

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