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神社をね、テーマパークのような場所にしたいんです

「いずれはハワイに移住してトロピカルフルーツでも並べて、神社のお祭りができれば最高だったんだけどね。ほら、ハワイには日系の移民が多いから、神社が結構あるんですよ」
その穏やかな表情とは裏腹に、意外な言葉が飛び出した。水戸東照宮の宮司・宮本章さんだ。

「そんな考えだったから罰が当たったのかな。あの東日本大震災で、鳥居が崩れたり、きれいにしたばかりの社務所の天井が落ちたり…かなり被害を受けました。でもこれはね、『しっかり働いて、被災した神社をきれいにしなさい』ということなんだと思うんです。私はあんまり仕事するのが好きじゃないから、最後に神様が大きな使命を与えてくださったのかもしれません」

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「復旧は大変でした。私は神主の大学を出ているから、金融関係や神社の建築構造のことなんて全く知識がなかったからね。あの震災を経験して、これは色々と勉強しなきゃという気持ちになりましたよ。だから、学ばせていただくことが多くて、感謝しています」

てっぺんを目指す龍のごとく

昭和20年8月2日に戦災で焼失するまでは、旧国宝に指定されていた水戸東照宮の社殿。
昭和37年に建て直され、これまで多くの人々を魅了してきたが、震災を受けて再度、宮本宮司の新たな挑戦が始まる。

「楼門に鯉を描きました。急流を登りきることができた鯉は、龍になることができる。そんな伝説から、目覚ましく出世するという意味の“鯉の滝登り”という故事があります。登竜門という言葉もありますよね。なので、ものすごく努力をして天下を取った家康公を龍になぞらえて、今後は本殿に龍を描きたいと思っています」

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楽しいのが一番いいよね

「私は遊びが大好きなので、神社でも楽しいことをやっていきたいです。ただ、個では何もできないし、先ほども言ったように、あんまり仕事するの好きじゃないんだよね。すると不思議なことに、周りの方々が東照宮のことを色々と考えてくださるんです。これも神様のご加護なのかな。『宮司、遊ぶの好きでしょ。だったらこんなことやった方がいいんじゃないの?』とかね」

「観光協会さんが企画した、“クラフトビールまつり”というイベントがあり、神社を会場としてお貸しして、タイアップさせてもらったんです。ただ会場をお貸しするだけではなく、少しぐらい神社らしいこともやろうかということで、十二単の着付け体験をやらせていただきました。若い方々にもたくさんお越しいただき、東照宮をPRする良い機会にもなりました」

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「まあ、中には色々な方もいらっしゃって、『鳥居にイベントの看板をかけたり、神社でビール飲んでいいのか』なんて言われることもあります。『神様のお力をいただいて、皆さんの幸せや繁栄を祈るんだから、いいんじゃないですか』と説明するんだけど、なかなか難しいんだよね。そして最後には『あんたが宮司やってたら終わりだね』って言われたり(笑)でも、私たちにご意見をくださっているのだから、感謝の気持ちを忘れてはいけないです」

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「私が水戸東照宮に来て30年ぐらい経ちますが、それまでは京都の下鴨神社で修行していたので、関西の方の感覚にあまり抵抗がないんですよ。例えば、関西の方って信仰を利益に結び付けるじゃないですか。でも、ビールまつりの話みたいに、関東だとそれを前面に出せないのは辛いところかな。地域のお盛(さか)りがあってはじめて、神社に人が来て手を合わせてくださるので、これからもどんどん楽しいことをやっていきたいんだけどね」

400年祭を盛大に

「江戸時代に全国の祭礼を番付表にしたものがあるんですが、なんと水戸東照宮の例大祭は、東の大関クラスに位置付けられていたんです。すごい規模だったんでしょうね」

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「水戸東照宮は2021年に、家康公をお祀りしてから400年という節目の年を迎えます。大正時代に300年祭が行われた絵巻を見ると、すごい行列を組んでいるんですよ。これから迎えることになる400年祭は、儀式だけじゃなく大行列を組んで、見ている方も楽しめるよう盛大にやりたいですね」

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「これは、水戸藩第9代藩主の徳川斉昭公が作らせた安神車(あんじんしゃ)です。中に人が入って銃撃するという想定だったんだけど、実戦で使われたことはないみたい。でもね、実はこれ日本最古の鉄製戦車なんです。ここ数年、アニメのガルパン(ガールズ&パンツァー)効果で、お隣の大洗町がかなり盛り上がってますよね。大勢の方に東照宮にも寄っていただき、ぜひ安神車をご覧になってもらいたいです」

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「佐賀県の佐嘉神社で、カノン砲を新年の祝砲として放つ神事があるんですけどね、これが何万人もお客様が来る大イベントなんですよ。それで実はうちも、ある方からカノン砲のレプリカを奉納していただいたので、カウントダウンをやってみたいんですよね。あ、でも大晦日って忙しいんだよな…普段働かない私も、徹夜で働くからね(笑)」

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神社を夢の世界へ

「昔は今みたいに娯楽がなく、寺社仏閣にお参りをして厄を払い、体をリフレッシュするのが、日本人にとっての余暇でした。神社は皆さんの心の拠り所ですから、ワンダーランドやテーマパークのように楽しい場所にできるといいですね。だから、もう少し頑張ってみようかな」

宮本宮司が紡ぐ水戸東照宮のこれからの物語は、きっと楽しいこと間違いなしだ。

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住所:水戸市宮町2-5-13

TEL:029-221-3784

目的がなくても、つい来てしまう場所へ(後編) お客様を楽しませたい、ただそれだけですから

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