銚子屋本店

おばちゃんの顔見たら元気になるって言われると、こっちまで元気になるよ

「足りる?足りる?食べなさい、食べなさい」
差し出してくれたのは、黄金色の干し芋だった。さっそく頬張ると、ハチミツを思わせる、優しくも濃厚な甘さが口の中に広がる。

「これはね、干し芋の本場、ひたちなかから取り寄せた自慢の商品なのよ」
とおっしゃるのは、銚子屋果実店に嫁いで約50年になる広瀬さち子さん。いまだ店先で切り盛りする、現役バリバリの看板娘だ。

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バナナミルクを飲んで「行ってきます」
一日のはじまりはここから。

色とりどりの季節のフルーツが並ぶ店内には、小さなカウンターがある。
「この生ジュースコーナーは、若い人たちが来てくれたらいいねって、10年ほど前に娘夫婦が作ってくれたんだ。オレンジやグレープフルーツもそのまま絞るから、本当の生ジュースだよ。おかげさまでイベントの時はお客様の列が途切れないね」
と、地元の人々に愛され続けるジュースを絞ってくれたのは、店主の定男さん。

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ところで、水戸にありながらなぜ「銚子屋」?

「もともとは私の叔父が果物の卸売をやっていたんだけど、そのときは『長子屋』って名前だったんだ。でも、郵便物の宛名を間違えて『銚子屋』と書いて送られてくることが多くて。千葉の銚子が有名だったんで、間違えられたんだろうね。私の母が、果物の小売を昭和10年から始めたときには、すでに『銚子屋』って名前だったらしいよ。まあ、あんまり詳しくはわからないけど」

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特製バナナミルクは1杯100円。
「最近は朝ごはんを食べない人が増えたけど、朝ごはんの代わりにウチのバナナミルクを飲んでから出勤するOLさんもいるよ。缶ジュースより安いんだけど、お客さんの顔を見ると値上げしたくてもできないね」

バナナを手でちぎってブレンダーに投げ入れ、ミルクとレモンの一ひねりと一緒にジャーッ!
お味のほどはというと、飾らない素朴な甘みがどこか懐かしくて、また飲みたくなるぐらいクセになりそう。
そして他にもレモンミルクにブルーベリー、スイカ、茨城メロン…本当にレパートリーが多くて驚いた。

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このまちの子供たちはみんな自分の子供って気がするのよ

「この間もね、東京に転勤したお客様が久しぶりに帰って来て、『あ~、おばちゃん元気で良かったぁ、ツーショットで写真撮ってよ』って言うの。おばちゃんと写真撮ってもしゃあんめ(しょうがない)って言ったんだけど(笑)」
と、まんざらではないご様子。

「あとはね、幼稚園の頃から知ってて、今は大学受験生になった男の子なんだけど、ここを通るたびに毎朝おはよう、夕方はただいまってあいさつしてくれるの。若い人たちから私も元気をもらってるのよ」

笑顔で語るさち子さんの隣には、立派な雛人形が飾られていた。
「何となく飾ってたんだけど、お客様に『また来年も飾ってよ~』って言われてね、それ以来この時期には毎年出してるのよ。これ、私の雛人形なのよ。昭和18年頃からずっとあるんだけど、傷もほとんどなくて綺麗でしょ?母親がずっと大事に保存してくれてたんだね」

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「お父さんが毎朝5時に青果市場に買い付けに行って、8時から二人で店を開けるのよ。ずっと店の中にいても寒いんで、こうやって店の前に立って日光浴するんだ。そうすると、自然と色々な人が来てくれて、私とお話ししてくれる。こんな楽しいことはないよね。『おばちゃんと会ったら元気が出るんだ』って言ってくれる人もいるよ。だから今日も一日がんばっぺ」

南町2丁目交差点を眺めつつ約半世紀。今朝も、街行く人とあいさつを交わすおしどり夫婦の明るい声が、響き渡っている。

16_P06銚子屋果実店

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住所:水戸市南町3-4-3

TEL:029-221-2398

面白いことしかやりたくないし、面白いことしかやらな・・・ ギャラリーというカタチに残り続いていく講座は、私に・・・

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