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栄養たっぷりの食と音楽を届けます

「牛鍋食わぬは開化不進奴(ひらけぬやつ)
※牛鍋を食べないとは、とんでもない時代遅れな奴だ

文明開化を象徴する、そんな言葉がある。
では、牛鍋とすき焼きの違いをご存じだろうか。
両者はよく混同されるが、牛鍋は関東地方の、すき焼きは関西地方の食文化だ。
関東大震災をきっかけに、関西のすき焼き屋が関東に進出したことから、関東でもすき焼きがポピュラーになったという。

「うちの店では、すき焼きではなく牛鍋をご提供しています。お酒に合うよう、そして、常陸牛の脂の甘みに合うよう、タレは甘すぎず飽きのこない味付けに仕上げています」
そう語るのは、水戸市泉町にある開化亭の二代目・甲斐宣嗣さんだ。

P1044051-1開化亭の牛鍋(写真は3人前の牛鍋)

「僕は次男坊なんですけど、名前は宣嗣(のりつぐ)です。家業を継ぐにはぴったりの名前ですよね。小さい頃から親の背中を見ながら育ってきたので、なんとなく料理が好きだったし、勉強するより食べ物を作る方が性に合っていたんでしょうね。違和感なく、料理の世界を目指すことに決めました。ただ、東京に行っても遊んでしまう気がしたので、高校卒業後は岐阜へ修行に出ました。知らない土地に一人身を置いた方が良いかなと。岐阜の後は名古屋で修行し、27歳の時に水戸に戻ってきました」
職人としてのストイックさを持ち続けているからこそ、今の開化亭があるのだ。

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開化亭は、明治時代にタイムスリップしたかのような、レトロなたたずまいが特徴だ。
蓄音機や真っ赤な打掛、壁際に並ぶ無数のお猪口、「時間を忘れて楽しんで」と言わんばかりの、時が止まった柱時計…。その建築的珍しさに惹かれ、開化亭に訪れる外国人客も多いという。
あまりにも雰囲気のあるお店なので、創業も明治期まで遡るのかと思いきや、
「もともと、両親は割烹料理の店をやっていましたが、文明開化をモチーフにした店を開くのが夢だったそうです。その夢が36年前に叶ってからは、文明開化の代名詞である牛鍋を、店の看板メニューとしてご提供しています」

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伝えるべきもの

「開業以来、店をリニューアルしたことはありませんが、東日本大震災があった時はさすがに、建物にダメージを受けました。ただ、構造上危険な部分の修復のみで、直さなくても問題がない壁の亀裂などは、そのままにしてあります。後世に語り継ぐべきものとして、多少の亀裂はあってもいいんじゃないかと思うんです。僕たちが生きている証として、残せるものは残していきたい。そんな気がしています」

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地元でライ部

さて、甲斐さんにはもう一つの顔がある。
水戸市内のバーを貸し切ってミュージシャンのライブをプロデュースする、その名も地元でライ部年に4回程度、水戸市内のバーを貸し切って、お酒を片手にミュージシャンのライブを楽しむ。いわば“大人の遊び場”を提供するというものだ。

「岐阜での修行時代は、周りに友達がいない場所にわざわざ身を置いていましたし、当然給料も少なかった。そんな中、唯一の楽しみは3か月に1回、音楽CDを買って聴くこと。美しい日本語のフレーズの中に癒しを感じたり、発破をかけてもらったりしましたね。あ、あくまで僕は『聴き専』です。自分で演奏は一切しません」

山口洋(HEAT WAVE)-1_filtered地元でライ部の様子(山口洋・HEAT WAVE

お客様第一

「聴き専」の甲斐さんが、地元でライ部を始めたきっかけは何なのだろうか。
「僕はよく東京で開催されるライブに行くんですが、水戸への終電の時間が早く、いつも途中で帰らなければならなくて…毎回、後ろ髪を引かれる思いでライブハウスを後にしていたので、それならいっそ自分で開催してしまおうと思い立ったんですよ」

「そんな経験もあって、地元でライ部主催のライブは必ず、日曜日の18時スタートにしています。通常より1時間早めることで、東京に帰るお客様が、帰りの時間を気にしなくてよくなるんです。水戸でやるからには、遠方から来るお客様のアクセスまで考えるべきだと思うんですよね。まあ、本来だったら土曜日にライブをやって、そのまま水戸に泊まってもらい、次の日は観光してもらって…というのが理想ですが、僕の休みが日曜日しかないもんで」
地元でライ部のルーツは、自らの体験から生まれた「お客様目線」にあった。

IMG_6769-1地元でライ部の様子(花田裕之

みんなで楽しむ

地元でライ部のこだわりは、開催場所が「酒場」であること。
「嬉しいことがあって飲む人、悔しいことがあって飲む人…酒場には、色々な人の物語があります。酒場は、大人にとっての“日常”なんですよね。そんな場所で肘をついて、好きなお酒を片手に音楽を聴く。日常の中に音楽を溶け込ませたいという思いで、酒場での開催にはこだわっています」

地元でライ部の活動は口コミで広がり、今や遠くは九州、四国から足を運ぶ方もいるという。
「実は客層も幅広くて、20代の女の子から70代のご夫婦までいらっしゃいます。この活動を通してつながった方々は皆、大切な仲間ですね。まあ正直、自分が一番楽しんでいるかもしれないけど」

自ら真剣に楽しむからこそ、楽しんでもらえる場を提供できる。
冗談交じりに語る甲斐さんの言葉の奥に、そんな思いを感じた。

ROCK'NROLL GYPSIES-1地元でライ部の様子(ROCK’N’ROLL GYPSIES

本気の部活動

現在、地元でライ部の部員は4名。もともとはライブのお客さんだったそうだが、甲斐さんの活動に共感し、意気投合したそう。
「ライブをやる小さなハコの中で肩がぶつかっても、部活だったら『まあ気にしないでよ』と気軽に言える。そんな意味を込めて、地元でライ部というネーミングにしました。4人ぐらいのグループじゃ大それたことはできないけど、少しでも水戸を盛り上げられればと思っています」

なお、甲斐さんは地元でライ部以外にも、「自宅でバーベキュー部」や「自宅でピザ部」などの部も掛け持ちしており、“本気の部活動”に余念がない。

image3甲斐さんの自宅にはピザ窯がある

「あるとき、開化亭のお客様から『君の趣味は何?』と聞かれたんです。でも僕は、その問いに答えることができなかった。音楽は好きだけど、趣味とまで言えるかどうか曖昧でしたから。すると、『定年になったら自分の時間はできる。でも体力がなくなるよ。だから、自分がやりたいと思うことは、若いうちから続けていくべきなんだ』と言われまして。今なら自信を持ってその答えを言えるようになりました

「私の部活動は、仕事としてはできません。仕事にしてしまったら『勝ち』に行くでしょ?でも僕は『共存』したいから、この活動を続けています。あくまでも軸足は本業の料理人、そして左足は部活動に置いた上で、パラレルキャリアを貫いていきたいですね」

料理と部活動は、皆が笑顔になるビタミン剤。
甲斐さんは今日も牛鍋を仕込みつつ、次なる部活動の時を待つ。

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P1160704-1開化亭
電話:029-225-7173
営業時間:17:30~23:00
定休日:日曜・祝日
※牛鍋は2人前から注文可能。

2015。10.15花田裕之@水戸-1地元でライ部 花田裕之~流れ水戸編~
日時:10月15日(日)18:00~(開場17:00)
場所:JAZZ BAR BLUEMOODS(水戸市大工町2-1-2)
料金:3,500円
チケット申し込み:kyaikyatei@yahoo.co.jpまで

21741559_1566357513428786_1313085808_n地元でライ部 リクオ×中川敬「うたのありか2017」
日時:11月12日(日)18:00~(開場17:30)
場所:Live Music Pub Paper moon(水戸市南町1-4-18松屋ビル3F)
料金:前売4,000円、 当日4,500円
チケット申し込み:kyaikyatei@yahoo.co.jpまで

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住所:水戸市泉町3-3-18

TEL:029-225-7173

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