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旅人に癒しを、街にワクワクを

京成百貨店の裏手を歩いていると、山小屋風のレトロな建物が目に入る。
「居眠白猫亭」と書かれた看板から察するに、猫カフェか何かだろうか。
そんな疑問を持ちながら扉を叩いてみると、一人の女性が笑顔で出迎えてくれた。

「ここには40年ほど前、炉辺人(ろべんど)という喫茶店があって、かなり賑わっていたそうです。炉辺人が閉店してからはずっと空き店舗でしたが、建物自体は当時のまま残っていたんです」

そう語るのは、2016年8月にオープンした飲食店「居眠白猫亭」の店主・縄井千加子さんだ。「猫がゆったりと居眠りできるような空間」を表現しているのだそう。

「私は山形県出身で、冬には雪が2メートルも積もるような地域で暮らしていました。一度は上京したものの、結婚を機に約20年前から水戸に住んでいます。田舎暮らしが体に染みついていた私にとって、コンクリートで囲まれた東京での生活は、ちょっと息苦しくて。水戸は、気候的にもちょうど良い場所でとても暮らしやすいです」

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こだわり空間を受け継いで

居眠白猫亭の店内を見渡すと、どこかRPG(ロールプレイングゲーム)に登場する酒場のような、独特の雰囲気を感じる。

「昔からドラクエ(ドラゴンクエスト)のファンなんです。ゲームをしている時のワクワク感が好きで。もともと、中世ヨーロッパの世界観に魅力を感じていたというのもありますね」

ドラクエグッズが店内に並んでいるのも気になっていたが、ようやく謎が解けた。
きっと、この酒場のようなこだわりの空間も、ドラクエ好きが高じたからに違いない。
そう思っていると、

「実はこれ、私は一切手を加えていません。テーブルも椅子も全部40年前のまま。これだけの内装を一から自分でやろうとしたら、相当大変だと思いますよ。ある時、インターネットでたまたまこの物件を見つけたんです」
ドラゴンクエストシリーズが発売30周年を迎える節目の年に、縄井さんは新たなスタートを切った。

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時を越え、集う

居眠白猫亭には、様々な客が出入りする。
ドラクエファンはもちろん、レトロな空間でまったりと時を過ごしたい人、さらには高校時代に炉辺人で働いていたという人も来店したことがあるそうだ。

「炉辺人に通っていた常連さんも時々いらっしゃるんです。『当時と何も変わってないなあ』と、目を細めていました」
40年という時を越えた、様々な出会いの連続。縄井さんは感慨深く語ってくれた。

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冒険者ゆえ

居眠白猫亭には、一風変わったメニューが並んでいる。
この日のおすすめは、“梅ボナーラ”。カルボナーラの上に、刻んだ梅の果実がまぶしてある。
赤と黄の鮮やかなビジュアルに加え、甘味の後にやって来る梅の酸味が食欲をそそる。 

「料理に梅が使われることってあまりないですよね。水戸と言えば梅なので、何かできないかなと思って。そんな感じで、色々と試行錯誤しながらメニューを考えています。夜はお酒のつまみに『洋風モツ煮』という料理を出してみたり」

「それと、少しでも他店との差別化を図れればと思い、実家から送ってもらった山形のお酒をご提供しています。今後は世界の国々のお酒も少しずつ揃えて、世界旅行気分を味わっていただくのも面白いかなと思っています。旅とか冒険というコンセプトが、なんとなくこのお店に合いそうですし」
料理に対する冒険心も決して忘れない。

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ここだから、やりたい

「ここのお店は裏通りにあるので、皆さん気付かれずに通り過ぎてしまうことが多いんです。『都内だったらもっと流行るんじゃない?』と言われることもあるんですが、この雰囲気の建物はここにしかないんですよね。水戸でお店をやる一番の理由はそこかな」

「それに、街の近くに公園がたくさんあるというのも、ここにこだわる理由です。ここからすぐ近くにある西の谷とか、すごく素敵だと思います。何となくRPGのフィールドっぽいというか、モンスターが出てきそうな感じがして(笑)街の資源に乗っかって、何か面白いことができるんじゃないでしょうか」

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「店を出して以来、微力ながら街を盛り上げていかなきゃ、という気持ちになりました。西の谷みたいに、ワクワクできる場所が増えて、街全体が遊び場になっていけば良いなと思います。うちは新参者のお店なので、街との接点をどんどん増やしていきたいですね。ちょっと怪しいお店ですけど、ぜひ気軽に立ち寄ってください」

「自分が楽しいと思える空間で働きたい」

冒険好きな縄井さんは、今日もその思いを余すところなく表現し続ける。
道中疲れた旅人の皆さん、居眠白猫亭でお待ちしております。

P1040521-1居眠白猫亭
営業時間:11:30~22:00
定休日:月曜日

緯度経度で指定
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住所:水戸市天王町2-26メゾン水戸101

TEL:029-297-1217

演じて、伝えて(後編) 銀幕スターに魔法をかけて

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