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演じて、伝えて(後編)

前編はこちら

銀座の歌声酒場・ルーブルの2代目になったことで、舞台女優一筋という人生を劇的に変えた中澤敦子さん。
実は、女優としての中澤さんは今でも健在なのである。

俳優プロダクション希楽星(きらぼし)に所属し、これまでに『おはなはん』や『おしん』『フーテンの寅さん』など数々の作品に出演してきた。さらに、昨年公開された映画『オケ老人』やドラマ『ひぐらしのなく頃に』でも熱演しており、その活躍は止まらない。

higurasiBSスカパードラマ『ひぐらしのなく頃に』で演じる中澤さん

女優だからこそ

「おかげさまで、お芝居との縁はずっと切れていないんですよ。自分で演じるのもそうなんですが、それとは別に、方言指導のお仕事もさせてもらっています」
方言指導とは聞き慣れない言葉だが、ドラマや映画制作の上で、とても重要な役割を担っているそうだ。

「台詞に方言が入っている作品には、方言指導者という裏方がいます。全国の各方言に対して、それぞれ方言指導者がいるんですが、茨城弁に関しては昔からオファーをいただくことが多くて。色々な作品に携わらせていただきました」
さらりとそう語っているが、その地方出身の人なら誰でも方言指導者になれるわけではない。
芝居を良く知る中澤さんだからこそ、成せる技なのである。

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これまで数々の作品の方言指導を行ってきた中澤さんに、また大きな機会が巡ってきた。
2017年4月からNHKで放送される連続テレビ小説『ひよっこ』が、茨城を舞台に展開されることになったのだ。
1964年の東京オリンピックの時代、茨城で育ったヒロインが集団就職で上京するというストーリーなだけに、まさに中澤さんの出番である。

「いつもなら方言指導のオファーが直接来ますが、今回はオーディションでした。テレビでの放送は半年間ですけど、撮影は1年かかるので、長丁場を乗り切れる人じゃないと務まらないからね」

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オーディションを経て、中澤さんは『ひよっこ』での茨城弁の方言指導者となった。
撮影は2016年11月に茨城県内でクランクインしたが、それよりずっと前に中澤さんの仕事はスタートしていた。

「まずは台本が送られてきて、台詞を全部茨城弁に直します。それが終わったら、今度はその台詞をテープに吹き込みます。これが大変なのよ。1人の役者だけじゃなく、全員分だから。そして、いざ撮影となったら、リハーサルから本番まで全て立ち会います。同じ言葉でも、架純ちゃん(ヒロインの有村架純さん)の場合は可愛く言わせるけど、こっちの元気な青年は喧嘩しているような茨城弁で、というように、現場でその都度修正を加えていくので、朝から晩までずっと付きっ切りですね」

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これは戦いなのよ

「『演出家が何を求めているか』『役者がどう表現したいか』『方言指導者が台本をどう読むか』を考えながら、1番良い表現を探します。それぞれの領分をどこまで取り入れるのか、なかなか難しいんですよ」

「台詞の語尾を上げたり、『~だっぺ』と付けたりすれば、確かにそれっぽく聞こえるかもしれない。でもそれは茨城弁“風”であって、中身がないですよね。一方で、『ひよっこ』は全国放送ですから、誰でも分かるような表現にしないといけない。だから方言指導は、非常に微妙で繊細な世界なんです。常に役者や演出家、色々な人たちとぶつかり合っています」

そう熱く語った後、
「方言指導者はよく『先生』と呼ばれますが、茨城生まれで茨城弁を教えているだけだから、私は先生じゃないわよって言います。『じゃあ何て呼べば?』って聞かれたら『あーちゃんでいいわよ』って返すんです。架純ちゃんもそう呼んでくれているの」
と、ちょっと照れた笑顔を見せてくれた。

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まだまだ続く物語

「昔、私は訛りに対してコンプレックスがありました。生粋の茨城育ちだったので、喧嘩するとつい訛りが出て、東京の友達にからかわれましたから。逆に、同窓会で水戸に帰って来ると『標準語なんか話して、何気取ってんだ』って言われたりね(笑)そんなこともありましたけど、私を育ててくれた茨城弁に、今は誇りを持っています」 

現場で方言指導をしていると、女優魂に火がつき自らも演じたくなってしまうそうだが、
「きっと良い作品になるよ」
心からお芝居が大好きな中澤さんは、この日1番の笑顔でそう語ってくれた。
“主演・中澤敦子”の激動の物語は、これからも書き綴られていくだろう。

名称未設定_filtered-1ご主人の石津康彦さんも、俳優として活躍している

P1020528-1連続テレビ小説『ひよっこ』
4月3日(月)より放送開始。
【総合】
 <月〜土>8:00〜8:15/12:45〜13:00(再)
【BSプレミアム】
 <月〜土>7:30〜7:45/23:30~23:45(再)
 <土>9:30〜11:00(1週間分)

緯度経度で指定
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住所:水戸市泉町1-2-26 作田ビル2階

TEL:029-232-8122(営業は不定期のため、お電話でご確認ください)

http://chansoncafelouvre.blog.jp/

ルーブル文化を歌声に乗せて(前編) 旅人に癒しを、街にワクワクを

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