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まちの名を記したプロスポーツクラブの役割を考える。

水戸芸術館開館25周年記念事業「カフェ・イン・水戸R」の関連プログラム「Re MITO 100(リミット100)」についての記事を掲載しています。

「今から20年以上前、1993年はちょうどJリーグが創設された年でした。高校までサッカーに打ち込んでいた僕は、サッカーの道を目指したんです。プロの入団テストも受けて、実はかなり良いところまでいったんですよ」

そう語るのは、水戸市五軒町にあるレストランマロンのオーナーシェフ、大塚巌さん。
誰もが認めるサッカーフリークで、FMぱるるんの番組「FOOTBALL LABORATORY」のパーソナリティとしても知られる。サッカーと料理とまち、大塚さんを形成するそれらの原点をちょっと探ってみた。

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「入団テストに通らなかったら料理の道に進もうと、最初から決めていました。料理の学校に入り、縁あってフランスに留学することになったんですが、やはりサッカーとの関係は切れませんでした。同じく留学していた学校の仲間とサッカーチームを組んで、留学先のチームと交流試合をしたときのこと。そのチームは地元では有名で、良い選手も結構いたんです。ウチらは普段あまり運動しない人ばかりだったから、勝てるなんて思ってもいなかったけど、いざ試合をしてみると、あろうことか勝ってしまったんですよ!しかも驚いたことに、フランスの強豪クラブチーム・リヨンの強化部長が、その試合をたまたま観に来ていて、『リヨンでちょっと練習してみないか』と僕を誘ってきたんですよ」

「揺らがなかったと言ったら嘘になりますね(笑)でも、お断りしました。僕は料理の勉強をしに行っていましたから。ただ、今思えばサッカーを選んでいても、今の人生にあまり支障はなかった、いやむしろプラスになっていたかもしれません。『もしかしたら、元日本代表の松井大輔選手より先にフランスデビューしていたんじゃないか』とか、今でも同窓会で話題になったりするぐらいインパクトのある出来事でした」

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サッカーと料理はまちで繋がっている。
みんなで共有することが大切だよね。

「フランスは、街角で行われているサッカーにしても、レベルが高いです。子供と大人が分け隔てなくサッカーの話をできたりもするし、サッカーはひとつの文化なんですよね。地方では、試合があると家族全員で応援に出かけるんです。お母さんがお弁当をつくり、ご近所も誘って、まるでピクニック気分。料理もサッカーもまちで繋がっているというのを肌で感じました」

「1998年は、私が料理を学んだフランスでサッカーワールドカップが開催されました。しかも、日本代表がワールドカップ初出場を果たした大会なので、応援にも熱が入りました!ウチのお店でも、現地と同じ雰囲気を感じるために、フランス料理を提供したり、対戦相手のアルゼンチンのことを知るために、アルゼンチン料理を提供したり。サッカーと料理を中心に集まると、自然と人の輪が広がっていく。みんなで観るとこんなに楽しいし、こんなに面白い。これがパブリックビューイングの原点だと思うんです」

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「サッカーと料理とまち。フランスでの経験を通して、それらは僕にとってどれも欠くことのできないものになりました」

「食の楽しさは、まちにあるお店に来て、食べて、話をして、盛り上がることにあります。そもそも水戸というところは、フランスにも負けないぐらい、おいしい食材に恵まれています。肉も野菜もね」
数人でシェアして食べられることの多い「1kgステーキ」は、マロンをよく訪れる水戸ホーリーホックの選手たちにも大人気だ。

「水戸が持つ食のポテンシャルはとても高いので、『水戸はこんなにメシがうまいんだ!』ということをもっともっと伝えて、まちを盛り上げていきたいです

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水戸の名を背負って戦うサッカーチーム

「水戸が持つポテンシャルという意味では、サッカーにも言えることです。2000年にホーリーホックがJFL(日本フットボールリーグ)からJ2リーグに昇格することになり、『これはすごいことになったぞ!!』と、当時大騒ぎでした。水戸のまちの名を背負って戦うプロチーム。その存在だけでもまちの誇りです」

「ホーリーホックのポテンシャルを最大限に引き出すべく、色々関わっています。サポーターとしてはもちろんですが、お店に来る選手には、食事の摂り方のアドバイスなどもしています。『どういう協力ができるのか』『水戸のまちにもっともっと溶け込ませるにはどうしたらよいか』、常に考えています。水戸がサッカーとともに盛り上がるまちにしていきたいですね」

スポーツがコミュニケーション

「サッカーやまちに関わる仲間で、よく『みんながひとつになれるような仕掛けが水戸には必要』ということを話しています。そんな中、現代美術作家で、日本サッカー協会の理事でもある日比野克彦さんに、水戸芸術館で出会いました。彼の企画であるRe MITO(リミット)100の中で何かできないか、と考えていたあるとき、ブラインドサッカーというスポーツがあることを知りました」

「『ブラインドサッカーを体験できるイベントであれば、みんなが楽しめるんじゃないか』と思い、日本ブラインドサッカー協会にメールしてみました。すると、偶然にも元ホーリーホック選手の岡本達也から連絡があったんです。聞いてみると彼は、ブラインドサッカーのインストラクターとしても活動していたんです」

「ブラインドサッカーとは、選手がアイマスクをして視覚を断ち、ボールから出る音や選手同士の掛け声を聞きながら行うサッカーです。見ることができない中で戦うので、掛け声などのコミュニケーションがとても重要であり、それがこのスポーツの面白いところなんですよ」

「岡本さんも『お世話になった水戸で何かやりたい』という気持ちがあったので、『水戸のまちでブラインドサッカーを体験できないか?』という僕の話に、すぐに快諾してくれました。ブラインドサッカーは、企業の研修などで行われることがほとんどのようで、一般の人を対象に、しかも屋外でやるのは、実は初めての試み。色々な偶然が重なって実現した今回の企画が、水戸のまちでどういう“味”になっていくのか、とても楽しみにしています」

ブラインドサッカー
※多くの方に参加してほしいとのことで、イベント当日ギリギリまで参加を受け付けるそうです。

「イベントには、天皇杯3回戦が近いにも関わらず、ホーリーホックの選手も来てくれます。ホーリーホックって、ファンにとても距離が近いんですよ。練習場では、間近で選手を見られるし、ファンサービスもしてくれる。こんなチームは、なかなかないんじゃないかな。今回は、まちの中にサッカー文化を浸透させるだけでなく、ホーリーホックとファンへの近さを体験してもらいたいという意味も込めています」

食材の楽しさとサッカーの楽しさ。水戸のまちという大皿に乗った大塚シェフの“技”を、ぜひ堪能してみてはいかがだろうか。

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スポーツがコミュニケーション 水戸の街をサッカーで繋げる
■日時:10/12(月・祝)13:00~
■会場:水戸芸術館広場
■定員:80名

Re MITO 92.まちの名を記したプロスポーツクラブの役割を考える。(ガイドブックデータ)

レストランマロン
■営業時間:11:30~14:00(ランチ)、18:00~22:00(ディナー)
■定休日:日・祝日

緯度経度で指定
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住所:水戸市五軒町3-1-18

TEL:029-231-1690

戦時中に水戸で育った少年の心には何が映っていたのか・・・ 月に一度しか開かない、午前9時からの朝市。

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