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妙(たえ)なる食で民を救う。

水戸芸術館開館25周年記念事業「カフェ・イン・水戸R」の関連プログラム「Re MITO 100(リミット100)」についての記事を掲載しています。

「『治療が受けられず、薬が買えない庶民にも健康な生活を送ってほしい』、そんな願いが込められた『救民妙薬』に、学ぶべきことがたくさんあるんです」

水戸市泉町にある岩間東華堂薬局の16代目にあたる岩間賢太郎さん。1683年(天和3年)に開業、創業330年以上という由緒ある漢方薬店には、漢方に使用するサルの頭蓋骨や穿山甲(せんざんこう)の鱗など、めったにお目にかかれないものがずらり。

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岩間さんのご先祖は、東皐心越(とうこうしんえつ)禅師から家傳北斗香御目薬を伝授された。東皐心越禅師は、禅の師匠として徳川光圀公に招かれた寿昌山祇園寺の開祖であり、中医(中国医学の医師)としても知られている。

そんな岩間さんが想いを寄せる救民妙薬について、語っていただいた。

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「救民妙薬は、水戸藩第2代藩主の徳川光圀公が、身近にある草木などを使用した薬の作り方など、庶民でも実践しやすいよう作らせた家庭の医学書です。これが人々の助けとなり、1693年(元禄6年)の初版から何度も版を重ね、明治・大正時代になっても売れていたそうですよ。でもこの考え方は、現代にも通じる部分があるんです。たとえば、東日本大震災が起きたとき、医薬品の流通がストップしました。しかし、そんなときだからこそ、身近なものが治療薬になりうるんだということを、救民妙薬が教えてくれました。あの震災は、僕が救民妙薬をもっと多くの人に知ってもらいたいと思うようになった、ひとつのきっかけでもあります」

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薬剤師はね、“薬を減らす職業”でもあるんです。

「救民妙薬の考え方は、僕たち薬剤師の仕事にも言えること。薬剤師は、薬を売る職業というイメージがあると思いますが、実は一方で“薬を減らす職業”でもあります。薬に頼らずに、いかにして治療していくか、ということが大事なんです。薬の量を減らすことができれば、医療費の削減にもつながる。医療費以外にお金が使われると、地域経済が良くなっていく。では、薬を少しでも減らすにはどうすれば良いのか。そのヒントが、誰でも簡単に実践できる救民妙薬にあるんですよ」

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身近にあるものを、“おいしくて体に良いもの”に。

「あるとき、『薬膳料理って体には良いけど、あまりおいしいというイメージがないよね。おいしくて体に良い薬膳料理だったら最高だね』という話を聞いた僕は、『身近にある食材と薬膳の知識を絡めて、何か新しいことができないか』と思うようになりました。それが、今僕が取り組んでいる“救民妙食”につながっています」

「救民妙薬には、ある意味おまじないみたいなことも書いてあるんですが、中には現代でも十分使えるものもある。例えば、『河豚(フグ)に酔たるによし。櫻木皮煎じ用』。これは、『河豚の毒にあたったときには、桜の皮を煎じて飲むと良い』ということ。救民妙食は、これに薬膳を組み合わせます。薬膳料理って、中華料理のイメージが強いけど、それは違います。食材ひとつひとつが持つ効能を意識して食べていくことが、薬膳料理なんです。だから、中華だけでなくどんなジャンルの料理にも当てはまります」

「救民妙薬と薬膳、そして旬の茨城の食材を使っていくことが救民妙食の考え方。もともと茨城にはおいしいものがたくさんありますから、それをもっと体に良い料理に昇華させることで、救民妙食を新しい食のブランドとして確立したいです。まずはお店で『これが救民妙食だ!』という料理が出せるようになるといいですね」

救民妙食『救民妙食 2015 SPRING』より抜粋

岩間さんは、救民妙薬の研究を続ける一方で、アウトプットも忘れない。

「薬学生の実習も受け入れており、基本的には水戸出身の学生がほとんどです。内容としては、医療の知識を詰め込むようなやり方はせず、常磐神社の中にある義烈館に行って、実際に救民妙薬の原本を見たり、当時薬を携帯するのに使用していた印籠を見せて、水戸藩と医療の接点を知ってもらったり。というのも、彼らには水戸の魅力をしっかり理解した上で就職してほしいんですよ。『当時の水戸黄門様ってどういう気持ちで医療に取り組んでいたのか』『どういう気持ちで藩政に取り組んでいたのか』、そういう情熱とか想いの部分を学ぶことで、それを医療に置き換えたときに、『自分は医療人としてどうありたいのか』を考える機会にしてもらいたい」

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さらに、VILLAGE310では薬膳カフェや漢方カフェなど、毎月テーマを変えて講座を開いている。

「一般の方にも知ってほしいことがたくさんあります。でも、薬膳や漢方の話なんて、なかなか勉強する機会がありません。だから、『取っつきやすい話を交えながら、肩肘張らずに学んでみようよ』という趣旨で開催しています。病院や薬に頼らずとも、薬膳や漢方で改善できることもあるんだ、ということを伝えたいですね。それが、“薬を減らす職業”としての使命だと思うんです」

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徳川光圀公の想いが結実した救民妙薬を、現代に蘇らせ、それを新たな形で伝える岩間さん。
普段忙しく暮らすあなたも、一息ついてちょっと足を止めてみれば、意外と身近なものの中に何か生活のヒントが隠されているかもしれない。

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■日時:11/17(火)18:30~20:30
■場所:VILLAGE310(水戸市天王町2-32)

Re MITO 38.妙な食で民を救う。(ガイドブックデータ)

DSC_1289-1岩間東華堂薬局
■営業時間:8:00~18:30(木・土・日曜日は18:00まで)
■定休日:祝日、第1、3、5日曜日

緯度経度で指定
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住所:水戸市泉町2-3-6

TEL:029-221-3857

せっかくやるなら“本当の”水戸のイベントにしたい アートに出会い、仲間に出会ったこのまちを大事にした・・・

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