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月に一度しか開かない、午前9時からの朝市。

水戸芸術館開館25周年記念事業「カフェ・イン・水戸R」の関連プログラム「Re MITO 100(リミット100)」についての記事を掲載しています。

水戸駅を背に国道50号を歩き、南町一丁目交差点を左に曲がった裏通りに、若者から年配の方まで交流が盛んな、くろばね商店会がある。

秋澤充さんは、くろばね商店会にある「酒・食事処 茶の間」の2代目だ。

「高校を卒業してから10年ちょっと、東京で日本料理の修行をしていました。茶の間はもともと和食を出しながらも、洋食がメインでした。でも僕は和食をやりたかったので、店のテイストをがらっと変えました」

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みんなに愛される“豚もやし鍋”

茶の間の看板メニューといえば、豚もやし鍋・だし巻き卵・牛メンチカツ。その中でも特に思い入れが強いのは、豚もやし鍋だそうだ。

「修行時代に、まかないでつくっていたものが結構おいしかったので、水戸に帰ってきたら絶対に店で出そうと決めていました。単身赴任や出張でウチの店にいらっしゃるお客さまが多かったので、シメのラーメンまで食べても安い値段で提供しています。食材は、ニラ、もやし、ネギ、豚肉です。なるべく地元の食材にこだわりたいので、例えば豚肉はローズポークを使っています。でも、味付けはいたってシンプル。関西割烹の店で修行していたので、関西の味に近い薄口醤油です」

「レシピは簡単なので、聞かれるとすぐに教えちゃうんです。でも、家庭ではなかなか同じ味にするのは難しいみたいですよ。自分の家で、子供に豚もやし鍋をよく作ってあげるというお父さんが、子供と一緒に来店されたときのこと。ウチで改めて豚もやし鍋を食べたとき、子供から『お父さんが作るのと味が全然違うじゃん』って言われていたのを思い出します(笑)“どこにでもありそうだけど、ウチでしか食べられない”それが豚もやし鍋です」

「Re MITO 100のディレクターでもある、アーティストの日比野克彦さんや、リビングルーム泉町を仕掛けた北澤潤くんもよく食べに来てくれます。これからも、みんなに愛される豚もやし鍋を提供し続けたいです。また、僕にさまざまな人との出会いをくれる豚もやし鍋を、ずっと大事にしていきたいですね」

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茶の間からすぐ近くにあるくろばねパーク(水戸協同病院駐車場)では、2003年10月から“ほぼ毎月”途絶えることなく「くろばね朝市」が開催されている。

「僕は料理人になるために必死で修行していたので、なかなか地域の人とふれあう機会がありませんでした。でも、ちょうど水戸に帰ってくるタイミングで、くろばね商店会が立ち上がることになったんです」

「まずは、くろばねという名前を知ってもらいたかったので、あちこちのイベントに出店することが多かったです。それでいつしか、『くろばねは若い人も年配の人もみんなまとまっていて、元気がいいね』と注目され始めたんですよ。『じゃあ、自分たちで始めてみようか』ということで、最初は7店舗ぐらいの出店でしたけど、くろばね朝市がスタートしました

001-12003年、第1回目のくろばね朝市

みんなで作り上げる、それがくろばねスタイル

「朝市を続けて13年、回数にして110回を超えました。7月と8月は、水戸黄門まつりの行事として『ワイワイくろばねフェスティバル』を開催しているので朝市はありませんが、それ以外の月は毎月第4日曜日にやっています」

「9時からスタートということになっているけど、なかなか時間どおりには始まりません。“くろばねタイム”ってやつですね(笑)というのは冗談で、会場設営を出店者自ら行っているからなんです。普段早起きなんてしない人たちが、朝市のときは7時半に会場に出てきてみんなで作り上げる。それがもう10年以上続いているんですから、不思議ですよね。しかも面白いのが、お客さまも会場設営や撤収を手伝ってくれるんですよ。朝市で飲んだ後に、自分で使っていたテーブルを拭いて、たたみだしたりね(笑)そんな独特の雰囲気で超地域密着型、ハマる人はハマるというのがくろばね朝市の特徴です」

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地域に住む人々のために

「くろばね商店会を皆さんに知ってもらうために始めた朝市は、今では地域の人の憩いであり、コミュニケーションの場所になっています。地域との接点が希薄になっているご時世ですが、くろばね朝市に来ることで、みんな知合いになるんです。人が集まるところに自然と会話が生まれ、2回、3回と来るようになると、互いに挨拶するようになる。そして4回、5回来ると、『また来月来いよ!』なんて、いつの間にか仲間になっていたりね」

「まちの活性化のための事業で、外から人を呼び込む戦略もあると思います。でも、地域に住んでいる人や商店会として普段お世話になっている人のために、恩返しをする場所があってもいいと思うんです。そんな想いでやってきたからこそ、長続きするイベントになったのかもしれません」

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楽しい経験を次の世代へ

「僕が子どもの頃、子ども会で楽しいことをたくさん経験しました。実はこれが、次の世代につなぐためのヒントなんじゃないかと思います。楽しいという思い出が、大人になっても心の片隅に残っていれば、いつかは水戸に戻りたいという気持ちになるかもしれません。また、水戸市外から来て、水戸で4年間過ごす大学生もそう。4年間の中で、まちのなかに何らかの接点ができ、水戸は楽しいまちだという思い出が残れば、もしかしたら水戸で就職するきっかけになるかもしれません。そうした楽しい経験を、どれだけ次の世代にさせてあげられるか。それは、僕たちまちの人間の役目です。くろばねもそうですけど、今はコミュニティの垣根が取れ始めてきて、垣根の外にいる様々な人たちとも交わることで、楽しいことがどんどん生まれています。水戸のまちはもっと面白くなっていくと思いますよ」

独特の“くろばねタイム”を味わいに行くもよし、会場設営を手伝いに行くもよし。
“いつもそこにあるくろばね朝市”にひとたび顔を出せば、きっとその虜になることだろう。

007-1第114回くろばね朝市
■日時:10/25(日)9:00~14:00
■場所:くろばねパーク(水戸協同病院駐車場・水戸市宮町3-2-7)
詳細はくろばね商店会ホームページを参照。

Re MITO 54.月に一度しか開かない、午前9時からの朝市。(ガイドブックデータ)

_G5A3269-1酒・食事処 茶の間
■営業時間:17:00~23:00
■定休日:日・祝祭日

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住所:水戸市南町1-2-4

TEL:029-231-1735

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