_G5A4678-1

作るものは作った人と似ているのかを調査する。

水戸芸術館開館25周年記念事業「カフェ・イン・水戸R」の関連プログラム「Re MITO 100(リミット100)」についての記事を掲載しています。

「水戸芸術館との関わりは、僕の活動におけるベースであり、ひとつのモチベーションとなっています」

甲高美徳さんは、K5 ART DESIGN OFFICE.で自身もグラフィックデザイナーをつとめる傍ら、作品の展示販売や企画展、ワークショップなどを行うスペース「ミセルくらしPUNTO」をオープンし、クラフトやアートと密に接した暮らしを送っている。

だが、甲高さんの活動はこれにとどまらず、水戸の街でさまざまなプロジェクトを仕掛けてきた。

_G5A4592-2

「大学進学を機に福島県いわき市から水戸に出てきて、それ以来ずっと水戸に住んでいます。大学時代は、水戸芸術館の展示や企画が好きで、よく遊びに行っていました。4年生のときの博物館実習では、水戸芸術館を実習先に選び、学芸員の方から色々なことを学びました」

「でも、僕の周りの人と話をしていると、水戸芸術館に行ったことがある人がほとんどいなかったんですよ。水戸芸術館は敷居が高いというイメージがあったみたいです。自分がいいなと思う場所に足を運んでもらう人を少しでも増やしたいなと思い、まちと水戸芸術館をつなぐような活動を自分のできる範囲で遊びながら始めてみたんです」

以来、さまざまなプロジェクトを展開してきた甲高さんだが、もっとも大きな取組みのひとつといえるものがある。毎年、春と秋に水戸芸術館広場で開催される、クラフト作家の展示販売イベント「あおぞらクラフトいち」だ。

DSCF9737-1

「以前からフリーマーケットが開かれていて、僕も少し関わらせていただいていました。その中で、作家さんが手作り品を販売していたんですが、お客さまから値切られることが多かったんです。作家さんは想いを込め、手間ひまかけて作っているので、値切られたくない。一方で、フリーマーケットなのでお客さまは値切る。近くでそんな場面に遭遇していたこともあり、作家とお客さまの間を取り持って、クラフトの魅力をいい形で伝えられる場をいつか作りたいなと考えていました」

「2006年から、水戸デザインフェスというイベントを主催していて、その中の企画として、2009年にあおぞらクラフトいちがスタートしました。水戸デザインフェスは、文化デザイナー学院のギャラリーで行っていたのですが、その延長上で、水戸芸術館の広場をお借りしてクラフトのマーケットを開催することになったんです」

_G5A4553-2

「第1回目は20店舗ぐらいの小さい規模で始めましたが、水戸芸術館広場の芝生でのびのびと出店できたのが新鮮だったようです。商品が売れたとは決して言えなかったと思うんですが、とても好評でした。来年もまたやってほしいという声もたくさんいただき、2回、3回と続くイベントになりました」

「出店してくれる作家さんを集めるのに、かなり苦労しました。各地で行われているクラフトマーケットに出かけていっては、『あおぞらクラフトいちに出店しませんか』と声をかけていましたね。今はおかげさまで、120店舗ほどの規模にまで拡大しました」

P1380944-1

「あおぞらクラフトいちが始まった頃は、クラフトを専業でやっている作家の参加がほとんどでした。その後2010年初めぐらいから、クラフトが全国的にブームになったんですよ。作家人口もファンも爆発的に増えて、今では作品をイベントだけでなく、インターネットで販売したりする人がとても多いんです」

「作家にとって、お客さまと直接対話しながら自分の作品を売るという機会は、本当に貴重です。個性を出しつつ、リアルタイムにお客さまの嗜好やニーズなど“現在”の声に触れることで、作品が磨かれ、クオリティが高まっていると思います」

P1410365-1

「認知度も高まって、出店・集客ともに程よい規模になってきたと思います。せっかく1万人以上のお客さまにご来場いただいているので、今後は他のイベントや水戸をもっと楽しんでもらいたい。そこで立ち上げたのが、『水戸クリエイティヴウィーク』というプロジェクトです。水戸のまちなかでは、9月のシルバーウィークの期間にさまざまなイベントが行われるので、ひとつの入れものの中でタイアップしていこうというものです。例えば、水戸芸術館内では『水戸短編映像祭』や『カフェ・イン・水戸R』が同時開催。19日の夕方からは、タワー下で映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の野外上映会もあります。昼間はあおぞらクラフトいちや水戸短編映像祭を楽しみ、夜は映画鑑賞、終了後はまちなかでご飯。丸1日、水戸のまちの中で楽しむことができます」

「また、水戸観光協会の出張レンタサイクル屋が出現します。車でいらっしゃる方の多くは、イベント会場近くのコインパーキングに停めると思います。そのほとんどが、上限のある駐車料金設定なので、お帰りになるまでずっと停めたままでしょう。そこに自転車があれば、水戸のまちをもっと楽しめます。自転車を利用したい人、きっとたくさんいると思うんです。こんな風に、僕たちだけでなく、色々な団体を巻き込んで複合的に取り組んでいくことで、まちなかで面白い化学反応を起こしていきたいですね」

_G5A4602-1

「あおぞらクラフトいちには、実はバイヤーも多く来ているんです。ビジネスチャンスが生まれる場として、『作家とバイヤーとの接点を大切にしたイベント』をひとつの狙いにしていければと思います。また、作家同士の情報交換も盛んです。経験の浅い作家さんが成長したり、新たなコラボレーションが生まれたり…あおぞらクラフトいちから生まれる新たな展開にも期待したいですね」

「スタッフも育ってきていて、みんなやる気があります。今は水戸芸術館のクラフトマーケットですが、水戸の、いや茨城のクラフトマーケットとして認知されるように頑張ります。『もっと広い場所でやれば?』とか言われるんですけど、場所は変えないでしょうね。確かにビジネスチャンスも増えるし、もっと多くの作家に出店してもらえますが、水戸芸術館で開催する意味って大きいんです。水戸芸術館だからこそ、出店したいという作家も多いですから。あと、僕たち自身も楽しんでやりたいので、このぐらいの規模感が一番いいかな。僕たちの活動が、少しでもまちと水戸芸術館をつなげるきっかけになれば嬉しいです」

“芸術”というと敷居が高いと感じるかもしれないが、生活に根ざした“クラフト”であればアートに触れるきっかけになるかもしれない。甲高さんは、現代美術とは違うアプローチで、これからも挑戦を続ける。
まずは青空の下、芝生の上で作家とのんびりおしゃべりしに行くだけでも、きっと楽しいことだろう。

_G5A4453-1あおぞらクラフトいち Autumn in 水戸
■日時:9/19(土)~20(日)10:00~17:00 ※雨天決行

Re MITO 11.作るものは作った人と似ているのかを調査する。

※Re MITO 100ガイドブックは、水戸芸術館、水戸駅の水戸観光案内所、南町三丁目のまちなか情報交流センター、まちの駅等で無料配布しています。

緯度経度で指定
大きな地図で見る

住所:水戸市五軒町1-6-8(水戸芸術館広場)

TEL:029-255-6026(水戸デザインフェス実行委員会)

ハートで見る弘道館 模様にこめられたひみつ。 戦時中に水戸で育った少年の心には何が映っていたのか・・・

過去の記事

みとの魅力に出会えるナビアプリ 水戸のこと

好評配信中!