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ハートで見る弘道館 模様にこめられたひみつ。

水戸芸術館開館25周年記念事業「カフェ・イン・水戸R」の関連プログラム「Re MITO 100(リミット100)」についての記事を掲載しています。

「東日本大震災をきっかけに、弘道館とのつながりがより強くなりました」

水戸市三の丸にある弘道館。水戸藩第9代藩主徳川斉昭公が開設した、日本最大の藩校だ。
そこで学芸員を務める小圷のり子さんには、弘道館への並々ならぬ想いがあった。

「震災では、弘道館も被災したので、しばらく閉館していました。でも、空気の入れ替えなどのために、閉館中も雨戸の開け閉めをしなければなりませんでした。それまで、普段は担当の係員がやっていたんですが、震災のときは職員が交代で開け閉めすることになったんです。雨戸の開け閉めをしていると、天候や季節によって雨戸の状態が異なることに気づいたんです。このとき初めて、『まさに建物って生きているんだ!』と実感しました。と同時に、『今まで弘道館の表面だけしか見てなかったんじゃないか』と痛感しました。というのも、震災が起きるまで、弘道館で5、6年働いていましたが、どうしても文献の研究などデスクワーク中心になっていたんです。震災がきっかけで、実際に雨戸の開け閉めをするようになったことで、日々、心の中で弘道館と対話ができるようになり、絆が強まったような気がしました」

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いつもお客さまから感動をいただいています

「今年の3月11日に、弘道館の震災復旧をふり返るイベントを開催し、20名ぐらいの参加者の皆さんに弘道館を案内したときのことです。案内が終わった後、その中の1人の女性が『これをお渡ししたかったんです』と1枚の写真を見せてくれたんですよ。そこに写っていたのは、2011年3月11日に、震災で被災した弘道館の姿でした。話を聞いてみると、そのお客さまは2011年3月11日にも水戸に観光で来ていて、弘道館を見学しようとするまさにそのとき、被災したそうです。驚いた私は、その後どうやって帰ったのか尋ねたところ、2日間、弘道館の隣の三の丸小学校に避難して、身近にいた方とタクシーに乗り合わせて帰ったとのことでした。私はそれを聞いて、『弘道館で辛い思い、嫌な思いをしてしまったんじゃないかな』と心配になりました。でもお客さまは『私は弘道館にいたから助けられたんですよ』とおっしゃってくれました。さらに嬉しかったのは、その後も被災した弘道館の復旧状況が気がかりで、ずっとホームページを見てくださっていたんです。この日は、イベントに参加するためにわざわざ来てくださって、弘道館が全面復旧したのをとても喜んでくださいました。涙ぐみながらお話をしてくださる女性と一緒に、私も涙が出てしまいました。弘道館をこんなに大事に思ってくれている人がいることに、感激しました」

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「お客さまと接するとき、いつも感動をいただきます。私が働きはじめた頃、弘道館の廊下に座って、ずっと本を読んでいる女性をお見かけしたことがありました。お邪魔にならないように話しかけてみると、その女性は『弘道館の、この静けさを味わいに、ただそれだけのために来ました』とおっしゃったんです。働いて1年も経たない頃でしたが、そのとき私は『これが弘道館の本当の魅力なんだ』と感じましたね。あの出会いは忘れません。それ以来、悩んだときはいつも、私の原点とも言えるその言葉を思い出します。弘道館が本来もつ静けさや空気感を、これからも大切にしていきたいです」

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時を越えてつながる想い

「9月12日の企画『ハートで見る弘道館 模様にこめられたひみつ。』が生まれたのは、今年5月、ある場所での講演会がきっかけです。私が講演を務め、その後女性の琵琶奏者が演奏するという企画でした。その琵琶奏者が、演奏のときに持っている撥(ばち)をお客さまに見せながら、『この撥にはハートマークが付いていて、魔除けの意味があるんですよ』と言ったんです。実は以前から、弘道館の瓦や金具などにハートマークがあるのが気になっていたので、その言葉で、弘道館のハートマークも魔除けの意味があるんだと、すぐにつながりました。そこにタイミング良く、水戸芸術館からRe MITO 100のお話をいただいたので、アートとまではいかないけど、デザインという観点で企画を練れば、面白いものになるんじゃないかと思いました。あ、でも実際はハートではなく猪目(いのめ)といって、魔物や怖いものを遠ざけるということで、猪の目がモチーフらしいんですけどね」

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「弘道館をご案内するとき、歴史や教育という切り口でお話しすることが多いですが、今回はいつもとはちょっと違った視点で、デザインの美しさとか、そこに込められた意味や想いなどを伝えてみたいと思っています。江戸時代って遠い昔のように思えるかもしれないですが、当時の人々が形に込めた想いについて考えていくと、同じ人間として共感できるところがたくさんあると思うんです。だから、時代を越えて人と人との心がつながるような企画にしたいです」

「当日は、模様に込められた想いを探るほかに、江戸時代に実際に学ばれていた和算の図形の問題を解くワークショップも行います。弘道館はちょっと敷居が高いと思われがちですが、そうではなく、『当時の人は、こんな気持ちでここに通っていたんだ』ということを共感できる場にしたいです」

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「今回、弘道館としても新しいことにチャレンジできました。江戸時代の人々の気持ちに想いを馳せて、皆さんと一緒に作り上げていくワークショップ、私自身ワクワクしながら準備しています」

思わず背筋を伸ばしたくなるような、凛とした空気が流れる弘道館には、今日もさまざまな人々の想いが交錯している。

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■開館時間:9:00~17:00まで(2/20~9/30)、9:00~16:30(10/1~2/19)
■休館日:12/29~12/31

Re MITO 51.ハートで見る弘道館模様にこめられたひみつ。(ガイドブックデータ)

※Re MITO 100ガイドブックは、水戸芸術館、水戸駅の水戸観光案内所、南町三丁目のまちなか情報交流センター、まちの駅等で無料配布しています。

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住所:水戸市三の丸1-6-29

TEL:029-231-4725(弘道館事務所)

水戸一中OBがつくりました。 作るものは作った人と似ているのかを調査する。

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